労務ガイド09

労働安全衛生法について

2021年 9月 29日   更新

労働安全衛生法(OSHL: Occupational Safety and Health Law)は労働安全衛生を遵守するための体制づくりに関する基本法として位置づけられています。使用者と労働者の義務を明記し、労働安全衛生に関する総論部分にあたります。

<適用範囲>

工場法適用対象(動力を用いる場合は5人以上、動力を用いない場合は10人以上)に加えて店舗及び商業施設法が適用される商品販売業・卸売業・小売業、製造業、建築業、鉱山業、石油ガス、港湾、農業、牧畜業、漁業、教育機関、健康サービス業、通信業、運送業、ホテルや旅行業、その他省が通達によって適用される業種。

<人数>

労働者数による適用範囲を限定していないため、1人でも労働者を雇用している企業・事業所に適用。

<主な内容>

労働安全衛生責任者の任命及び労働安全委員会の設置
労使の義務
安全証明書の取得
労災事故発生時の通報
労働安全衛生資格の設置  等

<その他>

  • OSHLが総論に位置付けられるのに対して、各論はこれまでの制定されている安全衛生に関する法律が担う。例えば、工場法の中に定められている労働安全衛生に関する規定は有効であり、本法制定後も効力を持つ。
  • 国に緊急事態が発生したとき、通達によって本法の適用を免除することが可能。
  • 政府の判断によって免除期間が定められており、適切と判断される条件を付すことも可能。
  • 大規模な自然災害や国内での紛争によって本法の施行が困難となっていると政府が判断すれば、本法の適用免除が可能。

<COVID-19・クーデターの影響を受けて>

労働安全衛生法に準じている場合でも、リモートワークの場合の労働安全衛生は網羅できません。ミャンマーでは最初のロックダウンが行われた昨年4月以降から現在まで約1年半リモートワークが続いている場合、衛生的な労働環境の確保は個人に委ねがちとなっています。次第にリモートワークやパンデミックという状況に慣れ始め、感染した家族の看病をしている場合でも、現地スタッフのアルコール消毒や手洗いうがいの習慣が薄れているケースもみられます。労働安全衛生についてはこれまでにミャンマーで整備されてきた制度に加えて、社会情勢に応じた各社主体的な取り組みが求められています。