労務ガイド04

賃金について

2021年 5月 4日   更新

<給与>

賃金支払法 (Payment of Wages Law, 2016)の規定に基づき、給与は月末もしくは企業規模に応じて月末の5日から10日前に支払われます。雇用主は所得税 (income tax) 及び社会保障 (social security) の控除が許可され、義務付けられています。その他に欠勤時など法律で定められた範囲で控除が可能です。

ポイント

法律では具体的なボーナスの支払いについて義務付けられていないが、4月のティンジャンのタイミングで給与1ヶ月分のボーナス支給が一般的。

<最低賃金>

最低賃金法 (Minimum wage law, 2013) に基づき最低賃金を決定し、2年に1度見直しがされます。Notification 2/2015によると最低賃金は休憩時間を除く8時間の労働に対する1日あたりの金額。最低賃金法では基本給は年金、チップ (Gratuity Payment)、社会保障の現金給付、福利厚生(交通費、住居、食費、電気代、水道料金、税金、医療費等)や退職手当を除くと定義されています。また、ボーナスや残業代は基本給には含むとされていますが、実務上では賃金計算に残業代は考慮されていません。

ポイント

2018年5月の改訂以降、最低賃金は4,800 MMK。2020年に見直しが行われるはずであったが、コロナ禍により遅れが生じている。

<ミャンマー平均給与2021>

2021年ミャンマー国内における平均給与は545,000 MMK。

内訳抜粋 (いずれも平均給与)

Accounting Assistant: 293,000 MMK
Accounting Manager: 810,000 MMK
Administrative Assistant: 277,000 MMK
Business Analyst: 700,000 MMK
Human Resource Officer: 322,000 MMK
Human Resource Manager: 810,000 MMK

【参考】

Luther. , Memo: Myanmar Employment Law (Updated: November 20170)
Salary Explore; Average Salary in Myanmar 2021
11月に更新後最低賃金の施行を目指す
最低賃金引き上げの調査・検討が開始

<クーデター下における所得税納付について>

連邦議会代表委員会(CRPH)による9月末まで納税を延長する法律の制定や軍事政権に対する納税を拒否する従業員の声など、当面適切な納税方法が不明瞭な状態が続くことが予想されます。

実権は国軍にあり納税も従来通りと解釈できる一方で、法律に則っていたとしても、現在の状況下では市民からの批判や不買運動を招くリスクを専門家は指摘しており、落としどころとして「従業員の給与から税金分を控除し、税務当局との交渉などにより納税自体は当面猶予してもらう方法」を提案しています。法令遵守だけではなく、企業の行動規範や人権遵守の観点を考慮することが重要となってきます。

(参照: ミャンマー進出の日本企業: 納税が不買運動を招く恐れ)